東京の切符の買い方

私は故郷の片田舎から東京に上京したとき、よく遊んでくれた人がいました。
私とその人も本と喫茶店とかけそばが好きで、気が合ったのです。
私が上京したての、東京の路線を全く把握していなかったときも、その人がついていてくれたので怖いことはなかったです。
そんなある日のことでした。
私がその人と電車に乗る際、切符を間違えて購入したらしく、「100円分損したよ」と助言され、駅員さんに払い戻しをお願いして切符を買い直しました。
私がお礼を言うと、その人は「あ、間違えた。損してたのは150円でした」と言って、PiTaPaでサッと改札を出て行ったのです。
私はその場に呆然と立ち尽くしました。
要約するとこういうことです。
まず、私が間違えて目的地の運賃よりも高い切符を購入しました。
それを教えてもらったので、駅員さんに払い戻しをお願いしました。
改めて100円安い切符を買うと、実は最初に余分に支払っていた額が150円の間違いで、今買った切符も50円分損しているのです。
しかしその人は何事もなかったかのように、一人先に改札を出て行ったのでした。
自分は何も言い返すことができません。
元々間違えて切符を買ったのは私ですし、誰も責めようがないのです。
しかし、せめて一言くらい声をかけてほしかったな、と今でも時折思います。